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1,2年生の方へ

講義名 西洋思想史Ⅱ
年度 2010
区分 夏学期:通常講義
担当 廣野 喜幸
教室 1331
詳細

対象クラス     1年  文科 理科 2年 文科 理科

講義題目 :     構造主義の歴史的境位

授業の目標、概要 :
   学問をするということは、見えないものを何とか見えるようにすることであり、また、そうした可視化を可能にする概念や 理論を構築することである。20世紀の西洋思想にとって、そうした概念や理論のうち、もっとも重要なものの一つが構造であり、構造主義であった。 
 本講義では、構造主義はそもそも何を超克すべく企てられた試みであるのか、その歴史的文脈を明らかにしつつ、まとまった学派というよりは、ゆる やかな知的運動であった構造主義の代表的論客を順次検討し、西洋思想史の流れの中に構造主義を位置づけるとともに、未来に向けた思想として、構造主義をど う活用すべきか(すべきでないか)を受講生諸氏とともに考えてゆくことにしたい。

授業のキーワード :
   構造主義、フーコー、レヴィ=ストロース、ラカン、ドゥルーズ、ソシュール

授業計画 :
 1 ガイダンス:観念の歴史学派 
 2 思想史と社会史 
 3 古代~中世思想の中心点:神 
 4 近代思想における根本意想:ヒューマニズム 
 5 ニーチェの「神は死んだ」、フーコーの「人は死んだ」 

 :構造へ 
 6 無意識の発見:フロイト 
 7 差異:ソシュールとヤーコブソン 
 8 変換と構造:トポロジーを例に 
 9 野生の思考:レヴィ=ストロース 
10 無意識は言語構造をもっている:ラカン 
11 知の花火師:フーコー 
12 生きるとは問題を設定することだ:ドゥルーズ(とガタリ) 
13 構造という発想をどう評価するか 
 
授業の方法 :
    ビデオを見てもらうなどして、そこに見いだされる西洋思想史に関する問題に回答するといった作業を2~3回ほど課す。こ  れが平常点に相当する。受講者の回答を素材に関する講義を進めてゆく。一方的ではなく、双方向的な講義を目指す。

成績評価方法 :
    試験と平常点の総合評価、もしくはレポートと平常点の総合評価(割合は7:3ほどを予定している)。

教科書 :     教科書は使用しない。
参考書 :
書名    :『はじめての構造主義』
著者(訳者):橋爪大三郎 
出版社   :講談社(現代新書)
ISBN     :4061488988
 
書名    :『寝ながら学べる構造主義』
著者(訳者):内田樹
出版社   :文藝春秋 社(文春文庫)
ISBN    :4166602519
 
書名    :『レヴィ=ストロース入門』
著者(訳者):小田亮
出 版社   :筑摩書房(ちくま新書)
ISBN    :4480058656

ガイダンス有無 : 第1回授業日に行う。

履修上の注意 :
    講義用WWWサーバーやメール等を活用するので、ITリテラシーをある程度もっている方がよいだろう。ガイダンス時に受  講希望者が教室の座席数を上回った場合、抽選により人数制限を行うことがある。

学習上のアドバイス :
    構造主義を知ることにとどまらず、構想主義的発想によって世界を投企的に看取できるようになることを目指す。歴史的事実  を暗記するのではなく、講義中に頭をフル回転されることが肝要である。

関連ホームページ :    http://lecture.ecc.u-tokyo.ac.jp/~chiro/