東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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1,2年生の方へ

講義名 科学技術基礎論Ⅰ
年度 2010
区分 夏学期:通常講義
担当 信原 幸弘
教室 1313
詳細

対象クラス     1年  文科 理科 2年 文科 理科

講義題目 :  脳科学リテラシー

授業の目標、概要 :
    科学技術の発展は著しく、社会への影響も大きい。科学技術を社会に役立つ方向に発展させるためには、私たち一人一人が科  学技術の基本を理解し、その社会的影響を見積もる力、すなわち科学技術リテラシーを身につける必要がある。この授業では、とくに脳科学に焦点を絞って、科 学技術リテラシーの習得を目指す。脳科学の発展は、マインドリーディングやマインドコントロールなどを可能にしたり、自由意志の存在を否定したりする恐れ があるだけに、私たちの社会生活や人間観に及ぼす影響は甚大である。脳科学を健全に発展させるためには、脳科学リテラシーが不可欠である。

授業のキーワード :
   脳科学、意思決定、道徳、脳-機械インターフェイス、エンハンスメント、記憶

授業計画 :
 次の各テーマについて授業を行う。原則として一つのテーマを一回の授業で扱う。 
1 はじめに:脳科学リテラシーとは何か 
2 知覚:意識しない知覚はあるのだろうか 
3 記憶:私たちの記憶はどれくらい誤りやすいか 
4 自由意志:脳科学は意志の自由を否定するか 
5 意思決定:薬物依存と意思決定の歪み 
6 道徳性:道徳に感情は必要か 
7 マインドリィーディング:心の読み取りが可能になると、心のプライバシーはどうなるか 
8 BMI(ブレイン・マシン・インターフェイス):義手や義足などは人間のサイボーグ化につながるか 
9 精神病理:脳科学から見た心の病とは何か 
10 薬理的増強:薬物による認知能力の増強(エンハンスメント)は可能か 
11 教育:脳科学は教育にどう役立つか 
12 加齢と悪質商法:加齢による認知能力の衰えは脳科学的にはどのようなものか 
13 脳科学の実践利用:脳科学が疑似科学化する恐れはないか 
14 終わりに:脳科学のイノベーションとガバナンス

授業の方法 :    パワーポイントを用いて授業を行う

成績評価方法 :    学期末の定期試験期間中に試験を行う

教科書 :    教科書は使用しない。
参考書 :
書名    :脳神経倫理学の展開
著者(訳者):信原幸弘・原塑 編著
出版社   :勁草書房

ガイダンス有無 :    特に行わない。

学習上のアドバイス :
    脳科学と社会の関係について、日頃から、問題意識をもってほしい。とくに脳科学に関する新聞や雑誌の記事などは、興味を  もって読んでほしい。