東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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1,2年生の方へ

講義名 科学史
年度 2009
区分 夏学期:通常講義
担当 小松 美彦
教室 533
詳細

対象クラス     1年  文科 理科 2年 文科 理科

講義題目 :  先端医療と死生観の歴史

授業の目標、概要 :
     20世紀後半からの先端医療の躍進にともない、死生観の転換の必要性が叫ばれがちである。しかし、従来の死生観とはい かなるもので、歴史的にいかに形成されてきたのか。また、死生観とは医療技術や科学技術に相応するように作り替えられるべきものなのか。そしてそもそも、 死そのもの、生命そのものとははたして何か。 
 こうした批判意識のもとに、先端医療にかかわる問題群のうち、2009年に法改定がなされた脳死・臓器移植と安楽死・尊厳死を主な素材として、 現代の死生をめぐる事態について歴史的に考察する。ただし、通常の医学史系の科学史の講義がそうであるように、古代から現代に至る死生観の変遷史を一学期 間かけて辿ることはしない。あくまでも現代に焦点を当て、必要に応じて歴史を遡行するという方法をとる。医学と死生をめぐる歴史的な知見を拡げ、自身の死 生観を深めることを目標とする。

授業のキーワード :
    死生論史、先端医療、脳死・臓器移植、安楽死・尊厳死、科学的生命観と人生論的生命観、独自の視点・感性・思考

授業計画 :
    若干の変更の可能性はあるが、概ね以下のように進める予定である。 
1    ガイダンス 
2    基本的視座の確認 
3〜4  現代医療をめぐる問題とその歴史的背景 
5〜8  脳死・臓器移植の多面的検討 
9〜11 死の観念の医学史的・哲学史的検討 
12   安楽死・尊厳死の多角的考察 
13   生命観をめぐる医学史・生物学史とその批判的小括

授業の方法 :
    ビデオを活用しながら、講義形式で進める。時間の許すかぎり、当方からの質疑応答を入れる。

成績評価方法 : 学期末試験(客観問題と論述問題)のみ

教科書 :     教科書は使用しない。
参考書 :
書名    :西欧近代科学〈新版〉——その自然観の歴史と構造
著者(訳者):村上陽一郎
出版社    :新曜社
ISBN    :4-7885-0799-4
 
書名    :死は共鳴する——脳死・臓器移植の深みへ
著者(訳 者):小松美彦
出版社   :勁草書房
ISBN    :4-326-15319-9
 
書名    :脳死・臓器移植の本 当の話
著者(訳者):小松美彦
出版社   :PHP新書
ISBN    :4-569-62615-7

ガイダンス有無 : 第1回授業日に行う。

履修上の注意 :
       ガイダンス時に受講希望者が教室の座席数を大幅に上回った場合、抽選により人数制限を行う。受講希望者はガイダンスに必ず出席すること。また、講義中に話している者はもとより眠っている者も、退席してもらう。

学習上のアドバイス :
    知識の吸収に留まらず、講義中に発せられる問いに対して思考をとことんめぐらせて欲しい。その意味で日常的な復習が肝要 であり、苦闘の度合いに応じて独自の着眼力・感性・展開力が育まれることになるだろう。