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科学技術社会論(STS)とは何かを考えたい。 STSの起源自体をどう考えるかが一つの問題である。アメリカの4S(Society for Social Studies of Science)は1976年設立であり、EASST(European Association for the Study of Science and Technology)の設立は1981年である。しかし1970年前後からヨーロッパではこのような動きはあった。日本のJSSTS(Japanese Society for Science and Technology Studies)の設立は2001年である。アジアのEASTS(East Asian Science, Technology and Society)は2004年前後から活動が始まっている。 本講義ではまず、 1970年前後に従来の科学哲学・科学史・科学社会学とは異なる名称として、STSが立ち上がったことの理由を考えてみたい。その上で、STSが何を自らの研究課題として意識し、取り組んでいるのかを概観する。学説史的な事項は参考文献に委ねることにして、必要最小限にとどめ、現代日本における科学技術と社会の相互作用を具体事例をもとに検討したい。そこでは、市民参加、科学技術ガバナンスといった科学技術の政治学的検討と従来の科学哲学、科学社会学、科学史との関連を考えたい。とりわけ、STSが誰に向けて「学問的言説」を発信しようとしているのか、という問題について悩んでみたい。また、講義というよりも討論を重視し、STSという「学問」の特殊性、危うさ、危険性についても考える機会となるようにしたい。 参考文献:Edward J. Hackett, Olga Amsterdamska(eds.), Michael Lynch and Judy Wajcman The Handbook of Science and Technology Studies, ,Third Edition, MIT Press, 2007 David, Matthew. Science in Society Pelgrave.2005 スティーブ・フラー 『科学が問われている』産業図書、2000年 小林傳司編『公共のための科学技術』玉川大学出版部、2002年 小林傳司『誰が科学技術について考えるのか』名古屋大学出版会、2004年 小林傳司『トランスサイエンスの時代』NTT出版、2007年 藤垣裕子編『科学技術社会論の技法』東京大学出版会、2005年
討議の参加への積極性及びレポートによって評価する。 |