講義題目: 科学と実在:科学的実在論論争の現在
授業の目標・概要: 科学者はしばしば「電子」や「クォーク」といった直接観察できない対象について語ります。「でも、これらの対象は本当に存在しているのか。」「目に見える現象をうまく説明するために考案された単なる概念的な道具にすぎないのではないか。」「そもそも、それらの「存在」を認めたり、信ずるとは一体どういうことなのか。」このような問題群をめぐって繰り広げられてきたのが「科学的実在論論争」。「電子」や「クォーク」は社会的な構成物にすぎないと主張する社会構成主義をも巻き込んで、現在でも活発な議論が続いています。この授業では、論争状況の「今」を見定めた上で、ある種の「実在論」(活動実在論)の立場から上の諸問題に挑みます。
授業のキーワード: 科学的実在論、社会構成主義、測定ネットワーキング、理論パッチワーク、 活動実在論、科学の超合理性(super-rationality)
授業計画: 1)問題設定 2)科学的実在論争 3)測定ネットワーキング 4)理論パッチワーク 5)なぜ反実在論は測定ネットワーキングを説明できないのか 6)活動実在論はいかにしてネットワーキングを説明するのか 7)科学は合理的か
授業の方法: 授業では精密計測学で用いられている統計的技法の紹介も行いますが、統計学に関する知識は特に前提しません。 成績評価方法: レポート(80%)出席状況(20%)
教科書・参考書: 出口康夫「活動実在論の擁護」中才・美濃編『知識と実在』世界思想社所収 同 「真理対応説の擁護:実在論とロバストネス」日本カント協会編『カントと人権の問題』所収 イアン・ハッキング『何が社会的に構成されるのか』岩波書店 |