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大学院生の方へ

講義名 相関基礎科学特殊講義IV
年度 2010
区分 夏学期:通常講義
時間 月曜5限
担当 八耳 俊文
教室 14-308
詳細

講義題目:       19世紀日中科学技術史

授業の目標・概要:    

入華宣教師Daniel Jerome Macgowan が著し、1853年に寧波で出版した漢文による航海気象学書『航海金針』は、日本にも伝わり、薩摩藩により和刻本が作成され、幕末期に洋学者たちに歓迎された。本講義ではこの書物を取り上げ、その内容(航海術、気象学のみならず天文、地理に及ぶ)、成立の経緯、著者のこと、和刻本の出版事情、読者の広がりの様子を述べ、漢字文化圏における学の蓄積・交流に関する新しい視点の確保をめざす。

授業のキーワード:    

  航海金針、Daniel Jerome Macgowan、洋学、気象学、出版、入華宣教師

授業計画: 1)『航海金針』の紹介 
        2)入華宣教師と科学技術 
        3)科学と宗教 
        4)Daniel Jerome Macgowan の生涯 
        5)和刻本の基礎知識 
        6)洋学者のネットワーク
     以上の順で講義する予定。

授業の方法:  1)主に資料を配付し、それに基づく講義形式でおこなう。
         2)受講生の発表の時間も設ける予定。

成績評価方法:     発表(20%) レポート(60%) 出席状況(20%)

教科書・参考書:    

吉田忠・李廷挙編『日中文化交流史叢書8:科学技術』(大修館書店,1998)
八耳俊文「D.J. マッゴウァンと中国,日本 1843-1893」『洋学』1(1993):43-87.
八耳俊文「『航海金針』の成立と流布」『一滴』 14(2006):41-64.