東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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大学院生の方へ

講義名 科学史IV
年度 2010
区分 冬学期:通常講義
時間 水曜2限
担当 岡本 拓司
詳細

講義題目:
科学(と技術)の歴史を分野横断・地域横断・時代横断的に検討する(2)

授業の目標・概要:
    科学技術思想IIIに引き続き、下記の関心に基づいて、科学史・技術史の方法論について検討を加える。ただし、科学技術思想IIIを履修していないものも履修可能である。また、今学期は、経済・政治の領域に見られる「世界システム」が学問の世界でも成立しているかどうか、成立しているとすればそれを支えているものが何であるかについても考察したい。科学は学問の中の一分野であり、その特色をとらえるためには他の学問との比較が有効である(分野横断的分析)。科学の特徴は国や文化の違いによらず成立することであり、特に近代以降は地域ごとの束縛を超えた展開を見せるために、特定の文化・地域の特色とそれを超えた要素の区別が必要になる(地域横断的分析)。科学の相貌が時代に応じて変化するのは当然であるが、時代の違いを超えて科学と見なされるものが存在すると考える以上、その中には時代の束縛を超えた或る特徴が見出されるはずである(時代横断的分析)。科学とは一体どのようなものであるのかを明らかにするのが科学史の目標の一つであるが、この目標の達成に近づくためにも、またその目標に関わりなく研究を豊かにしていくためにも、以上のような視点に基づく考察は有用であろう。本講ではできる限り具体的な題材を用いながら、上記の3つの方向に沿った科学史研究の在り方を模索することとする。

授業のキーワード:     科学、技術、歴史、学問、方法論

授業計画:
 ・ 序論と導入、夏学期の到達地点の確認(2回程度)
 ・ 地域を超えた研究を豊かにする方法:具体例として念頭にあるのは、
   進化論・相対性理論・量子力学等の地域別の受容形態の比較など
   (3回-4回)
 ・ 科学とみなされる学問の時代に制約されない特徴:具体的には、
   成立期の科学をそれ以外の学問と分けたものが何であったか
   (3回-4回)
 ・ (知的)世界システム(3回-4回)
 ・ 受講者による発表(2回程度)

授業の方法:
    序論、導入、および具体的な関心についての説明は岡本が行う。特に、分野横断・地域横断・時代横断といった観点から科学史(技術史)研究の総括を行った試みはいままでにあまりみないことから、関心のありかを明確にするためには多少の説明が必要になるものと思われる。可能な限り具体的な材料を用いて説明を行いたい。その後は、受講者それぞれの関心に合わせて、講義の目的に沿った検討を実際に行っていただき、発表していただくことを目指している。といっても、この講義で行う方法論的な検討によって、個々人の研究の内容が少しでも豊かになっていればそれで十分なので、あらためて難しい方法を用いて研究をやりなおしたりする必要はない。

成績評価方法:     平常点と講義中の発表。場合によってはレポートを課す。

教科書:     なし。
参考書:     講義中に紹介する。

履修上の注意:
     なるべく積極的に発言してほしい。また参加者自身の課題を検討する際に、この講義で考察するような方法が実際に有効であるかどうか、吟味していただけるとありがたい。