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講義名 相関基礎科学特殊講義III
年度 2011
区分 冬学期:通常講義
時間 水曜5限
担当 鈴木 晃仁
詳細

講義題目:     近現代の医学と社会

授業の目標・概要:
医学と医療は19-20世紀にその性格を本質的に変化させ、またその変化は同時代の社会と世界に大きな影響を与えた。この変化について、新しい視点・方法論・史料を用いた医学史研究が活発に進行している。この授業では、それらの研究から問題群を選び、それらの問題についての論文や史料などを読み、近現代の医学と社会の多様で本質的な変容について概観を得ることと、新しい医学史研究の方法をマスターすることを目標とする。対象とする地域は特に限定しないが、どの問題系についても、日本についての素材と議論を含む。なお、英語で書き発表する作業を多く含むので、アカデミックな場で英語を利用する訓練も意図している。

授業のキーワード:
medicine、imperialism、eugenics、health transition、environment、state, market, and society

授業計画:
議論する問題群は、
1) 国家と資本主義と共同体、
2) 帝国主義とグローバル化、
3) 優生学、
4) 環境と医学、
5) 健康転換とその後、
の5つである。それぞれについて、3点の研究論文と資料を選び、それらを素材にして議論する。

授業の方法:
毎回、課題文や資料を与え、それらについて全員が英語の要約や議論を準備して回覧する。ディスカッションは英語で行う。

成績評価方法:
それぞれの報告やディスカッションをもとに評価する。

教科書:
課題文や資料はこちらで準備して配布する。

参考書:
基本的なレファレンスは以下のとおりである。それ以外のものは、授業中に指示する。
W.F. Bynum et.al., The Western Medical Tradition 1800-2000 (Cambridge: Cambridge University Press, 2006)
Roger Cooter and John Pickstone eds., Companion to Medicine in the Twentieth Century (London: Routledge, 2000)
英語で作文をすることになるので、英英辞典のほかに、文体マニュアル、類義語辞典、コロケーションの参考書を準備すること。具体的には以下のようなものである。それぞれ新版などがあり、また、より優れた別のレファレンスも存在するかもしれないので、洋書屋などにいって、自分に適したものを選ぶといいだろう。
Joseph M. Williams, Style: Towards Clarity and Grace (Chicago: University of Chicago Press, 1995)
Maurice Waite, Oxford Paperback Thesaurus (Oxford: Oxford University Press, 2006)
Diana Lea, Oxford Collocations Dictionary for Students of English (Oxford: Oxford University Press, 2002)

履修上の注意:
毎回、課題文を読解して英語で要約をするので、準備には多くの時間が必要であろう。アカデミックな英作文に慣れていない学生は、丸一日の時間を割り当てる必要があるかもしれない。内容は医学史の初心者にも興味を持てるものが多いので、医学史についての特別な知識はそれほど必要としない。

関連ホームページ:
http://web.hc.keio.ac.jp/~asuzuki/BDMH/home.htm