東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
ホーム > 大学院生の方へ > カリキュラム > 2013年度 > 相関基礎科学特殊講義Ⅰ

大学院生の方へ

講義名 相関基礎科学特殊講義Ⅰ
年度 2013
区分 夏学期:通常講義
時間 金曜4限
担当 染谷 昌義
教室 8-112
詳細

講義題目:    
知覚の哲学―エコロジカル・ターンの哲学的意義

授業の目標・概要:    
目標
アメリカの知覚心理学者James J. Gibson(1904-1979)が創始した「知覚と行為に対するエコロジカル・アプローチ」が、知覚的認識論や行為論に対して有する哲学的意義を学び、このアプローチの環境観、生物観、人間観を理解する。

概要
伝統的な知覚論では、知覚認識の基本問題は、環境から与えられたわずかな刺激から、どのようにして環境についての認識を獲得できるのかという点にあった。そのため、問題への答えは知覚者の内部で行われるさまざまな活動、たとえば表象に基づいてなされる判断や推論、あるいは情報処理と呼ばれる計算操作に求められた。エコロジカル・アプローチは、知覚者の能力にこのような過剰な知性的ローンをかけるのではなく、知覚者を取り囲む環境の側に知覚を可能にする豊かな資源性を回復させることで問題自体を変換する。わたしたちヒトを含めた生物を取り囲む環境には、生物の行為の機会(アフォーダンス)という価値が備わっており、生物は生態学的情報を利用してこの価値を直接知覚し、この価値を利用して行為を作り出し、この価値を改変しながら歴史と文化を構築している。
 授業では以下のテキストを読み解きながら、こうした「エコロジカル・ターン」によって新たに開かれる見解――アフォーダンスの実在性、表象を介さない直接知覚説、知覚と身体的行為との密接な連関、環境の改変と文化構築、知覚と思考との関係、発達と学習の意味、言語環境論――を学び、その含意を考えていく。

テキスト
E・リード『アフォーダンスの心理学―生態心理学への道』、細田直哉訳、新曜社

授業のキーワード:    
エコロジカル・アプローチ、ジェイムズ・ギブソン、生態心理学、直接知覚説、知覚システム、アフォーダンス、生態学的情報、チャールズ・ダーウィン、進化理論、神経ダーウィニズム、表象、知覚、行為、発達、学習、言語、思考

授業計画:    
初回はガイダンスを行う。以下の教科書の全12章のテーマについて1〜2回分の授業を割り当てる。
1.調整vs.構成
2.進化心理学
3.アフォーダンス:心理学のための新しい生態学
4.情報の重要性
5.機能システムと行動のメカニズム
6.多様な行為システム
7.価値と意味を求める努力
8.ヒトの環境
9.人間になる
10.心の日常生活
11.言語環境に入る
12.思考の流れ

授業の方法:    
演習形式にて行う。各回の担当者を決める。担当者は割り当てられた章の内容を紹介し解説する。必要に応じて教員が補足説明を行い、内容の理解を確認しながら質疑と議論を行う。理解度を促進するために映像資料を用いることもある。

成績評価方法:    
担当報告30%、議論参加度20%、期末レポート50%

教科書:   
エドワード・リード『アフォーダンスの心理学―生態心理学への道』細田直哉訳、佐々木正人監修、新曜社、2000年
Edward S. Reed, Encountering the World: Toward an Ecological Psychology, Oxford: Oxford University Press. 1996.

参考書:   
授業内で随時紹介する。入門書、導入書として以下の著書を読んでおくと理解がはかどる。
佐々木正人『アフォーダンス―新しい認知の理論(岩波科学ライブラリー12)』岩波書店、1994年 佐々木正人『アフォーダンス入門―知性はどこに生まれるか』講談社学術文庫、2008年 三嶋博之『エコロジカル・マインド―知性と環境をつなぐ心理学』NHKブックス、2000年 河野哲也『エコロジカルな心の哲学―ギブソンの実在論から』勁草書房、2003年

履修上の注意:   


関連ホームページ:


その他:

教科書が高価なため、マスターコピーを用意する。必要に応じて各自で複写願う。
原著のコピーも用意する。必要に応じて各自で複写願う。