東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
ホーム > 大学院生の方へ > カリキュラム > 2015年度 > 科学技術基礎論Ⅱ

大学院生の方へ

講義名 科学技術基礎論Ⅱ
年度 2015
区分 夏学期:集中講義
時間
担当 河野 哲也
詳細

講義題目
知の生態学的転回と情報の存在論

授業の目標・概要
: 
環境問題は、現在、全人類的かつ緊急の課題として私たちに立ちはだかっている。私たち人間の特徴は、自分の周辺の環境を自ら改変し、人間化された環境(人間環境)の中に住んでいることである。本講義で追求したいのは、集団的に形成された人間環境のあり方を記述し、人間個々人がその人間環境とどのような関係性をとり結んでいるかを明らかにし、最終的に、どのような人間環境を構築・再構築すべきかという規範的な問題を探求することである。これを、ジェームズ・ギブソンを先駆とする生態心理学と現象学を融合させた生態現象学の立場から追求する。それをさらに発展させることで情報の存在論を提起し、存在と認識、心身の二元論の超克を目指す。

授業のキーワード:   
[日本語用]
生態学的現象学、生態心理学、心の哲学、情報の存在論
[外国語用]
ecological phenomenology, ecological psychology, philosophy of mind, ontology of information

授業計画:   
1.イントロダクション:授業の目的と方法
2.ギブソンの心理学、その認識論と存在論
3~4.ギブソンの生態学的心理学の基礎と発展:テキスト第1巻についての説明と参加者によるディスカッション
5~6.環境内存在と技術:テキスト第2巻についての説明と参加者によるディスカッション
7~9. 生態学的倫理学と当事者研究:テキスト第3巻についての説明と参加者によるディスカッション
10~13.情報の存在論:情報の存在論について講義し、参加者と質疑応答をする。
14~15.期末試験とフィードバック、まとめ

授業の方法 
・ディスカッションが中心の授業にする。学生は事前にテキストを読み、授業内ではほとんどの時間をディスカッションと質疑応答に使う。
・学生は、事前にすべてのテキストを読んで、とくに関心のある論文を各巻から3~4本選び、それについての質問やコメントを準備してくること。

成績評価方法:  
最終筆記テストとディスカッションへの参加によって評価します。

教科書
村田純一・佐々木正人・河野哲也・染谷昌義『知の生態学的転回(第1巻身体)』(東京大学出版
会)ISBN:4130141317(授業第1~4回で使用します。)
村田純一・佐々木正人・河野哲也・染谷昌義『知の生態学的転回(第2巻技術)』(東京大学出版
会)ISBN:4130141325(授業5~6回で使用します。)
村田純一・佐々木正人・河野哲也・染谷昌義『知の生態学的転回(第3巻倫理)』(東京大学出版
哲学(授業7~9回で使用します。)

参考書: 
石原孝二編『当事者研究の研究』 医学書院, 2013年.
桑子敏雄『生命と風景の哲学』 岩波書店, 2013年.
河野哲也『エコロジカルな心の哲学: ギブソンの実在論より』 勁草書房, 2003年.
河野哲也『環境に拡がる心: 生態学的哲学の展開』 勁草書房, 2005年.
河野哲也『エコロジカル・セルフ: 身体とアフォーダンス』 ナカニシヤ書店, 2011年.
河野哲也『意識は実在しない: 心・知覚・自由』 講談社メチエ, 2011年.
Oyama, SusanThe Ontogeny of Information: Developmental Systems and Evolution (Science and Cultural Theory), Duke University Press Books, 2000.

履修上の注意: 
ディスカッションがほとんどの時間を占める授業になります。
事前にすべてのテキストを読んで、とくに関心のある論文を各巻から3~4本選び、それについての質問やコメントを準備してきてください。

関連ホームページ
http://ep.human.waseda.ac.jp/groups/ecoex/

その他: