東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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大学院生の方へ

講義名 科学技術思想I
年度 2016
区分 冬学期:通常講義
時間 水曜3限
担当 岡本 拓司
教室 14-307A
詳細

 講義題目:  

近代日本の科学論の歴史を辿る
 
授業の目標・概要:   
 科学論とは、科学の知識としての性格や科学と社会との関わりに関するあらゆる思考を指すが、科学の定義そのものが個々の論者によって異なるために、議論の具体的内容は多様である。論者としては、哲学者、科学史研究者、社会運動家などが多く、元科学者が関心を持つことはあるものの、現役の科学者が深く関わることはあまりない。従って、個別の科学論には、哲学、社会思想、政治思想などが影響を及ぼすことになる。科学論という以上、科学が一応の材料であることは間違いないが、各時代(まで)の科学の姿や、科学の歴史に関する理解はまた多様であり、それに応じてまた様々な科学論が現れる。
 科学者や科学史研究者は、正確な科学やその歴史の理解に基づかない科学論を軽視するであろうが、「正確な」知識に基づかない科学論を築いていけないというわけではない。科学論はむしろ科学がどのように見えていたのかを測るてがかりを提供する、「正しい」科学や科学史、哲学とは独立した価値をもつ領域であると考えてよい。科学者が自発的に科学論の構築を行わない以上、科学者でさえ、科学の全容がどのようなものであるかを論ずる必要が生じた際には、科学者以外の誰かが作った科学論に依拠せざるをえなくなる。
 本講では、何が「正しい」科学論であるかを問わず、近代の日本に現れた多様な科学論の特徴を理解し、人々が「科学」を何であるかと考えたかを把握することを目指す。
 
授業のキーワード:   
[日本語用]
新カント派、マルクス主義、理想主義、日本主義、パラダイム
 
[外国語用]
 
 
授業計画:   
第1回:概要の説明
啓蒙的科学論(2-3回)。
新カント派と理想主義(2-3回)。
マルクス主義科学論(3-4回)。
日本主義と科学論(3-4回)。
パラダイム論(2-3回)。
 
授業の方法:   
概要については岡本が講義を行う。各種文献を紹介するので、参加者はそれらを材料にして独自の研究を行って発表してもよいし、別途自分の関心に応じて調査研究を進めてもよい。各自に一度は時間内での発表を行っていただく。
 
成績評価方法:   
各自の調査研究の内容。講義中の発表と、場合によってはレポートにより評価を行う。
 
教科書:  
 
 
参考書:  
 
 
履修上の注意:  
積極的に課題を探して、自発的に調査・研究を進めてみてください。
 
関連ホームページ:
 
 
その他: