東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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3,4年生の方へ

講義名 科学哲学特論IV
年度 2000
区分 夏学期:通常講義
担当 植村 恒一郎
教室 1224
詳細

テーマ:時間とは何か
「時よ、このもつれをほどくのは貴方の役目、私ではないわ」(『十二夜』)、「時よ、留まれ、おまえは美しい」(『ファウスト』)等と言われるように、時間は、我々人間が自己を含めた存在の全体をどのように受け入れるかを決める、最終審の審判である。時間は、「運動」「変化」「生成消滅」といった自然のレベルだけではなく、「生と死」「運命」「自由」「美」といった人間にとって手放すことのできない重要な概念とも分かち難く結びついている。「運命と和解する」だけではなく、さらに積極的に「運命を遊びに転化する」ような生き方を求める現代人にとって、「時間」という根本概念に親しみ、それを我がものとすることは有益であろう。この講義では、アリストテレスからベルクソン、相対性理論に至る西洋哲学の時間概念のエポックを紹介するとともに、ゼノンの逆理、マクタガートのパラドックスといった精妙な哲学的議論も扱う。「常識」以外の予備知識は必要としない。