東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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3,4年生の方へ

講義名 科学史特論 IV
年度 2006
区分 冬学期:通常講義
担当 中島 理暁
教室 1107
詳細

生命倫理学の現代史:「倫理的」身体をめぐる攻防
発祥から35年を経た今日、生命倫理学(バイオエシックス)はメタ的・歴史的分析の対象になりつつある。その認識のもと、生命倫理学の成立条件・思想的基 盤・4原則、主要な争点をめぐる言説、さらに倫理委員会などの制度および生命倫理政策について批判的に検討し、生命倫理学の史的軌跡を素描する。ケースス タディでは、人体実験・遺伝医療・生殖補助技術・脳死移植・公衆衛生・身体の資源化に焦点をあて、どのような問題が「倫理的ジレンマ」と定位されて論じら れ、それに対応すべくいかなる制度設計が行われてきたのか、その過程を検証する。方法論としては、社会史的アプローチを基軸に、国際比較を交え、さらに医 療社会学・医療人類学・STSなどの知見と分析枠組も参照することによって、生命倫理学の一連の問題系が埋め込まれている文化的・政治経済的コンテクスト の立体的な可視化を目指す。現代社会における病い・身体・医療・バイオテクノロジーに関わる価値体系と倫理的指向が、いかに歴史的に構築されてきたかを認 識し、さらに「健康の自己責任論」が席捲する新自由主義の潮流における生命倫理学の行方を共に考察する機会としたい。

  • 教科書及び参考文献:毎回資料を配付
  • 成績評価方法:ディスカッションへの参加度およびreaction paperの提出