東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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3,4年生の方へ

講義名 理科教育 II
年度 2007
区分 冬学期:通常講義
担当 下坂 英
教室 8-205
詳細

 理科嫌いの人の話を聞くと、用語や法則などの丸暗記の強制で、嫌いになったという人が少なくありません。覚えることは必要でしょうが、あまり能がありま せん。もっといい教育方法がないか考えてみませんか。例えば、科学史的なエピソードに基づいて教えれば、関心を持ってくれ、習得が進んだという報告も少な くありません。元素名を 例にあげましょう。プルトニウム(Pu)と冥王星(Pluto)との関わりとか、M.キュリーによるポロニウム(Po)の発見とか、小川正孝という科学者 が「ニッポニウム」という新元素を「発見」したことがある・・・などという話をすれば、元素名にも興味を持てるのではないでしょうか。
 また、生徒への調査によると、「科学の知識など必要ない」から、理科に関心がないという生徒も多いのです。しかし、現代社会は、科学なしでは 成立しえないし、民主社会においては、科学に関わる問題についても、一般人の判断が要請されます。例えば、生命倫理に関わる問題がしばしば話題になりま す。そこで、生徒に新聞記事を調べさせることで、科学を学ぶ必要性を認識できるでしょう。元素名もよく登場しますが、そういえば、ポロニウムは暗殺に使わ れたことで、有名になりしました! このような社会の中における科学という視点も、これからの新しい理科教育には必要なのです。相変わらず、「科学的」と称する怪しい情報が人々に影響を与え ることが、「あるある」ですが、どう対処したらいいのかも考えます。

  • 毎回プリントを配布します。
  • 成績評価方法:出席を重視し、授業での理科実験、数回の宿題と期末のレポートによります