東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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3,4年生の方へ

講義名 理科教育 II
年度 2008
区分 冬学期:通常講義
担当 下坂 英
教室 8-317
詳細

理解に興味を持たせるために,科学史を使うという導入法を考えます.面白いエピソードに基づいて教えれば,関心を持ってくれ,習得が進んだという報 告も少なくありません.丸暗記しがちな元素名を例にあげましょう.なぜ,金はAuで銀はAgか,プルトニウム(Pu)と冥王星(Pluto)との関わ り,M.キュリーによるポロニウム(Po)の発見,小川正孝という科学者が「ニッポニウム」という新元素を発見したことがある・・・などという話をすれ ば,元素名にも興味を持てるのではないでしょうか.さらに,結果だけでなく,どのようにしてその結果が得られたのかというプロセスを知ることは,科学の理 解を深めてくれると思います.

生徒への調査によると,自分は文科系であり,今後の生活において「科学の知識など必要ない」から,理科に関心がないという生徒も多いのです.しか し,現代社会は,科学なしでは成立しえない以上,科学の知識がないことが往々にして不利益に通じます.怪しい「科学」に騙されることもあります.また,民 主社会においては,科学に関わる問題についても,一般人の判断が要請されます.例えば,生命倫理に関わる問題がしばしば話題になります.こうした場合,知 識がなければ,誤解に基づいた判断をしてしまう危険性があります.そこで,生徒に新聞記事を調べさせることで,科学を学ぶ必要性を自覚させることができる でしょう.このような社会の中における科学・技術というしてん(STS)も,これからの理科教育には必要なのです.

毎回,プリントを配布します.

出席を重視し,授業の中での理科実験の実演,宿題と期末のレポートによります.