講義名 | 科学哲学特論 II |
年度 | 2008 |
区分 | 夏学期:通常講義 |
担当 | 木原 英逸 |
教室 | 8-112 |
詳細 | 科学技術の政治哲学――もうひとつのSTSへの入門 科学技術論・STSは、科学技術に関わる公共政策であり、公共政策とは、共同体として何事か公共の利益を成し遂げようと努めることにかかわる。そして、政治とは、そうした共同体において初めて起きることである。しかし、今日の公共政策論議においては、市場モデル・経済モデルが優勢であり、その点では、STSも同じである。 本講義では、科学技術者の社会的責任、科学技術のもたらすリスク、科学技術への市民参加などを論じるSTSの議論に見られる曖昧さを、信頼と責任、安全と自由、平等と効率、自立と依存、合意と闘争、参加と動員、市民と消費者、などの政治的概念を検討することで明確にし、政治モデルに立った公共政策というSTSのもうひとつの可能性を示そうと思う。それは、STSを例にして、ひとつの学問分野が、今日の新自由主義改革政策にいかに利用され、正当化のために動員されているかを示すことにもなるだろう。 |