講義名 | 理科教育Ⅱ |
年度 | 2009 |
区分 | 冬学期:通常講義 |
担当 | 下坂 英 |
教室 | 8-205 |
詳細 | 理科に興味を持たせるために、科学史を使うという導入法を考えます。面白いエピソードに基づいて考えれば、関心を持ってくれ、習得が進んだという報告も少なくありません。丸暗記しがちな元素名を例にあげましょう。なぜ、金はAuで銀はAgか、プルトニウム(Pu)と冥王星(Pluto)との関わり、M.キュリーによるポロニウム(Po)の発見、小川正孝という科学者が「ニッポニウム」という新元素を「発見」したことがある・・・などという話をすれば、元素名にも興味を持てるのではないでしょうか。さらに、結果だけでなく、どのようにしてその結果が得られたのかというプロセスを知ることは、科学の理解を深めてくれると思います。生徒への調査によると、自分は文化系であり、今後の生活において「科学の知識など必要ない」から、理科に関心がないという生徒も多いのです。しかし、現代社会は、科学なしでは成立しえない以上、科学の知識がないことが往々にして不利益に通じます。怪しい「科学」に騙されることもあります。また、民主社会においては、科学に関わる問題についても、一般人の判断が要請されます。例えば、生命倫理に関する問題がしばしば話題になります。こうした場合、知識がなければ、誤解に基づいた判断をしてしまう危険性があります。そこで、生徒に新聞記事を調べさせることで、科学を学ぶ必要性を自覚させることができるでしょう。このような社会の中における科学・技術という視点(STS)も、これからの新しい理科教育には必要なのです。 |