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3,4年生の方へ

講義名 科学史特論IV
年度 2010
区分 冬学期:通常講義
担当 小林 信一
詳細

講義題目:     科学技術政策論

授業の目標・概要:
【目標】
以下に示す科学技術政策に関する基礎的事項を理解し、科学技術政策に関して独自に考察できるようになることを目標とします。
①科学技術政策の歴史および国際比較
②今日の日本の科学技術政策の現状、課題、意味
③科学技術政策が登場した背景
④科学技術政策の変遷
 1) 研究政策(科学政策、学術政策)
 2) イノベーション政策(経済発展のための科学技術)
 3) 科学技術公共政策(社会の中の科学技術)
⑤科学技術政策の理論的背景

【概要】
科学技術は人間の営為の中でも最も専門性の高いものであり、それゆえに科学技術者でない者にとっては容易には理解できない性質を持っています。そこでまず、科学技術とは何か、どのような性質の活動かについて考察し、その上で、歴史的、また国際比較の観点から科学技術政策の発展を概観し、科学技術政策とはどのようなものかを検討します。後半では、今日的課題や科学技術政策の公共政策としての発展の可能性について考えると同時に、科学技術政策を支える理論的背景を考察します。

授業のキーワード:
    冷戦型科学技術政策、社会のための科学技術、社会の中の科学技術、科学技術公共政策、イノベーション、コミュニケーション

授業計画:
①イントロダクション − 科学技術政策とは何か
②科学技術政策の歴史的・国際的展開(1)科学技術政策の登場
③科学技術政策の歴史的・国際的展開(2)科学技術政策の登場と冷戦型科学技術政策
④科学技術政策の歴史的・国際的展開(3)冷戦後の科学技術政策の展開
⑤科学技術政策の歴史的・国際的展開(4)日本における科学技術政策の展開
⑥科学技術政策の法体系・組織・政策手段
⑦科学技術政策の今日的課題(1)イノベーションと科学技術
⑧科学技術政策の今日的課題(2)科学技術と社会
⑨科学技術と公共政策(1)科学技術とガバナンス
⑩科学技術と公共政策(2)公共のための科学技術
⑪科学技術政策の理論的背景(1)イノベーション論
⑫科学技術政策の理論的背景(2)境界組織論
⑬科学技術政策の理論的背景(3)学際性とコミュニケーション
⑭まとめ

授業の方法:
  講義を中心に、受講者間で討議しながら進めます。
必要な基本的資料等は適宜紹介し、宿題としてミニレポートの作成を課します。討議の一部はこれをもとにして実施します。
最終的に、討議に基づいて受講生一人一人に、テーラーメードでレポート課題を課します。

成績評価方法:
  評価は、討議・ミニレポート等を通じて「授業の目的・概要」に示した事項の理解度を判定するとともに、理解した内容を統合して科学技術政策について考察する能力が身に付いたかを最終レポートにより判定します。成績は討議・ミニレポート・最終レポートの総合判定で行います。

教科書・参考書:
・小林信一・小林傳司・藤垣裕子『社会技術概論』放送大学教育振興会、2007
・小林傳司『トランス・サイエンスの時代』NTT出版、2007
・藤垣裕子『科学技術社会論の技法』東京大学出版会、2005
・宮田由紀夫『プロパテント政策と大学』世界思想社、2007
・ギボンズ編著・小林信一監訳『現代社会と知の創造』丸善、1997