講義題目: 詩人ゲーテと近代医学
授業の目標・概要: 長命の詩人ゲーテ(1749-1832)の生きた時代は、近代医学の成立・発展と重なっている。彼とその時代の医学の関係について言及したコンパクトなドイツ語の専門書を講読しつつ、18世紀後半から19世紀前半の医学史的トピックを取り上げる。ドイツ語原文で読む訓練に加え、同時にゲーテがいかに当時の医学知識を文学作品に取り入れていったか、また彼と医学者との交流についてなど、文学作品を多角的にとらえていく方法を学ぶ。
授業のキーワード: [日本語用] ゲーテ、ドイツ文学、近代医学史 [外国語用] Johann Wolfgang von Goethe, German Literature, Medical History
授業計画: 教科書として使用するのは、ゲーテと医学史を専門とするM.ヴェンツェルのドイツ語著書『Goethe und die Medizin』(邦訳なし、Insel社、初版1992)である。100頁程度の新書版サイズだが、瀉血、分娩、解剖実習、種痘、調剤などゲーテ時代の医学史関係のトピックがコンパクトにまとめられ、同時に詩人ゲーテの病歴や医師との関係はもとより、文学作品における医学モティーフなども理解しやすい構成の入門書である。本授業ではこの著書を正確に訳しつつ、ゲーテ時代の医学と文学の関係を明らかにしていく。
授業の方法: 演習形式で行う。ドイツ語原書テクストを毎時間、履修者全員で通読し、検討・議論する。必要に応じて、作品解説等を行う。
成績評価方法: 授業への積極性および学期末筆記試験。詳細は授業内で説明する。
教科書: Manfred Wenzel:"Goethe und die Medizin. Selbstzeugnisse und Dokumente mit zahlreichen Abbildungen". (*現在絶版で入手困難のため、プリント配布予定)
参考書: ゲーテの文学作品でも医学と関連の深い『ヴィルヘルム・マイスターの遍歴時代』(主人公は最終的に外科医を志す)やゲーテの自伝的作品『詩と真実』などの翻訳を予め読んでおくと、さらに理解が深めることができるだろう。時代背景については、石原あえか編『産む身体を描くドイツ・イギリスの近代産科医と解剖図』(慶應義塾大学教養研究センター選書No.11, 2012)などを参照のこと。その他必要な参考文献は、授業中に適宜紹介する。
履修上の注意: ドイツ語原書テクストを読むので、履修者はドイツ語中級以上の能力を持つ者に限る。毎回、ドイツ語テクストの予習がかなり必要になるので、それを了解した上での履修が前提条件。履修希望者は初回授業に必ず出席すること。また独和辞書は必携。
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