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3,4年生の方へ

講義名 科学哲学特論Ⅱ
年度 2013
区分 冬学期:通常講義
担当 東克明
教室 1号館153教室
詳細

講義題目: 
量子力学の哲学

授業の目標・概要:  
「量子力学は非局所的な理論である」いわれることがある。ただし、ここで「非局所的」とはいかなる意味であるのか明確ではない。その意味をできる限り明らかにすることを目指す。より具体的には、ベルの不等式とコッヘン=シュペッカーの定理という二つの定理を軸にその定理の意味を非局所性の観点から考察する。また、量子論理についても講義する。「ヒルベルト空間上の射影作用素からなる束を観測命題の束」とみなしてよいといわれることがある。しかし、その根拠を明示的に述べている書物や論文は少ない。講義ではその根拠をできる限り明示的に与える。

授業のキーワード:  
[日本語用]
量子力学、哲学、因果、局所性、近接性、ベルの不等式、量子論理、射影束、コッヘン=シュペッカーの定理、文脈依存性

[外国語用]


授業計画:  
1.講義の概要            
2.有限次元複素ベクトル空間(テンソル積ベクトル空間含む)
3.アインシュタイン=ポドルスキー=ローゼンの論証(EPR論証)             
4.EPR論証へのボーアの反論とアインシュタインの再反論
5.ベルタイプの不等式(局所性条件を満たす、決定論的および確率的隠れた変数の不可能性)  
6.量子力学の遠距離相関・信号伝達可能性・因果
7.論理と束              
8.射影作用素からなる束と量子論理(なぜ射影束を観測命題のなす束と考えられるのか)
9.量子力学の公理とグリーソンの定理 
10.コッヘン=シュペッカーの定理
11.文脈依存型の確定値付与      
12.文脈依存型の確定値付与とその問題点
13.量子力学におけるコンテクスチュアリズム
14.(時間があれば)ハルボーソン=クリフトンのボーア解釈
15.(時間があれば)小澤の不等式とその科学哲学的な意味

授業の方法:  
原則としては講義、ただし、ときどき、数学的概念に慣れてもらうために演習をすることもある。

成績評価方法:  
課題レポートによる。

教科書: 


参考書: 


履修上の注意: 


関連ホームページ:


その他: