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3,4年生の方へ

講義名 科学哲学特論Ⅳ
年度 2014
区分 夏学期:通常講義
担当 東 克明
教室 115教室
詳細

講義題目: 
量子力学の哲学

授業の目標・概要:  
量子力学の哲学について講義する。まず、物理理論の意味論的アプローチを、古典力学と量子力学それぞれの場合について説明する。具体的には、物理量の値についての命題が、古典力学ではブール束、量子力学ではオーソモジュラー束となることを確認する。古典力学との対比によって、量子力学の数学的構造を明らかにしたい。続けて、コッヘン=シュペッカーのノーゴー定理を紹介する。この定理は、ある前提のもとでは、量子力学におけるすべての物理量に同時に確定した値を付与できない、という内容の定理である。一見すると、この定理は量子力学の非局所性とは無関係である。しかし、そうではないことが示される。最後に、最近議論されるハルヴォーソンとクリフトンのボーア解釈を紹介し、この解釈がどのようにして非局所性の問題を回避する(と考えられる)のか、説明する。

授業のキーワード:  
[日本語用]

量子力学の哲学、意味論的アプローチ、束、グリーソンの定理、コッヘン=シュペッカーのノーゴー定理、非局所性、ハーディーのパラドクス、ボーア解釈

[外国語用]


授業計画:  
1.講義の概要 2.束論(ブール束とオーソモジュラー束) 3.物理理論の意味論的アプローチ 4.古典力学の論理 5.量子力学の論理 6.ヒルベルト空間上の射影作用素よりなる束 7.量子力学の公理とグリーソンの定理 8.グリーソンの定理の帰結 9.コッヘン=シュペッカーのノーゴー定理 10.コッヘン=シュペッカーのノーゴー定理と非局所性 11.ハーディーのパラドクスとボーア解釈

授業の方法:  
原則としては講義、ただし、ときどき、数学的概念に慣れてもらうために演習をすることもある。

成績評価方法:  
課題レポートによる。

教科書: 


参考書: 


履修上の注意: 
線形代数の基本事項は既知として講義を進めます。線形代数を勉強したことがない場合、定評のある教科書(例えば志賀浩二『線形代数30講』朝倉書店など)をあらかじめ読んでおくとよいでしょう。

関連ホームページ:


その他: