東京大学科学史・科学哲学研究室 東京大学科学史・科学哲学研究室
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3,4年生の方へ

講義名 科学技術社会論特論Ⅱ
年度 2014
区分 冬学期:通常講義
担当 小島 智恵子
教室 8号館113教室
詳細

講義題目: 
科学技術社会論特論II

授業の目標・概要:  
この授業の目的は、原子力大国として知られるフランスと日本の原子力発電開発の歴史を事例とし、科学技術と社会との関係を分析することである。そのためにまず原子核分裂発見までの歴史的過程、臨界状態や原子炉のしくみといった原子力発電に関する基礎知識を学ぶ。次に第二次大戦後、世界各国で原子力発電をどのように開発してきたのかを概観した上で、フランスと日本の開発史を説明する。特にフランスに関しては、実際に原子力発電開発に携わった研究者へのインタビューや放射性廃棄物再処理工場・最終処分地下研究所の視察を含んだ独自の情報を提供するよう努める。最後にフランスと日本の原子力発電開発を比較検討し、その違いを両国の社会の違いと関連させて考察する。

授業のキーワード:  
[日本語用]

原子核物理学 原子核分裂 原子力発電 軽水炉 高速増殖炉 放射性廃棄物 再処理工場 テクノクラート

[外国語用]


授業計画:  
1. 原子論から原子物理学への発展
2. 原子核物理学の誕生から原子核分裂の発見までの歴史
3. 核の民事利用の歴史的背景 (アメリカ)
4. 核の民事利用の歴史的背景 (フランス)
5. 核の民事利用の歴史的背景 (日本)
6. 原子力発電の仕組み (軽水炉)
7. 原子力発電の仕組み (高速増殖炉)
8. フランスにおける軽水炉開発史
9. 日本における軽水炉開発史
10. フランスにおける高速増殖炉開発史
11. 日本における高速増殖炉開発史
12. なぜフランスは原子力開発を推進してきたのか
(フランス人技術者へのインタビューの紹介)
13. La Hague 再処理工場とBure 放射性廃棄物最終処分地下研究所
  (現地視察報告)
14. 原子力発電開発史に関する日仏比較
15. フランスと日本の社会構造と原子力教育との関係

授業の方法:  
講義、テーマによってはディスカッションを行う場合がある。

成績評価方法:  
任意に行う授業内小テストの合計(30%)とレポート(70%)による。ただしレポート提出は必須。

教科書: 
使用しない。授業に必要な参考資料はプリントを配布する。

参考書: 
授業の内容に合わせて適宜示す。

履修上の注意: 
この授業では、原子核物理学の内容にふれ原子力発電の仕組みについて説明するが、あくまで原子力発電開発の歴史を理解するために必要な基礎的な内容であり、事前に専門知識を必要とするものではない。この科目を履修したことが、科学技術の歴史や科学技術と社会との相互作用を調べていく動機づけになれば幸いである。

関連ホームページ:


その他: