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3,4年生の方へ

講義名 科学哲学特論VI
年度 2017
区分 夏学期:通常講義
担当 田中 泉吏
教室 12-1233
詳細

  講義題目: 

微生物学の哲学

 
 
授業の目標・概要: 
「微生物学の哲学」というと、科学哲学のなかでもとてもマイナーな分野のような印象を与えるかもしれない。しかし、微生物が生物学にとってきわめて重要な研究対象であるのと同じくらい、微生物学も生物学の哲学にとってきわめて重要な研究対象である。微生物は生物界の圧倒的な多数派であり、しかも生命の歴史の大半において主役の座を占めてきた。それにもかかわらず、現代生物学の中心的な概念や理論が微生物〈以外〉の生物(すなわち動植物)を念頭に置いてつくられたものであるとしたら、どうだろうか。微生物(学)を考慮に入れたとき、そうした概念や理論が重要な変更を迫られるかどうかは非常に興味深い科学哲学的問題である。またいわゆる種問題、すなわち生物種の本性についての形而上学的問題などに関する従来の生物学の哲学研究においても、微生物は生物界における重要性に相応しい扱いを受けてはこなかった。「微生物学の哲学」は従来の生物学の哲学の盲点を突く試みともいえよう。さらに微生物は私たち人間の生存や繁殖にも不可欠な役割を果たす共生者であり、したがって人間の行動や心について理解を深めるうえでも微生物学の知識は欠かせない。この授業ではMaureen A. O'MalleyのPhilosophy of Microbiology (Cambridge University Press, 2014)を手掛かりに、微生物と微生物学をめぐる様々な哲学的問題について考察する。
 
 
授業のキーワード:   
[日本語用]
 生物学の哲学,生命,実験進化,生物多様性,生態系,進化的移行,進化能,進化発生生物学,微生物生態学,メタゲノミクス,現代的総合(進化的総合),系統樹,種問題,分類,進化,ウイルス,微生物,微生物学の哲学
 
[外国語用]
 
 
授業計画:   
テキストを毎回一定の分量読んでいく予定である。目次は以下の通り。
 
An introduction to philosophy of microbiology
1 Philosophy in microbiology; microbes in philosophy
2 Philosophical debates in high-level microbial classification
3 Philosophical debates in species-level microbial classification
4 Philosophical issiues in microbial evolution
5 Microbial ecology from a philosophical perspective
6 Microbes as model biological systems
Conclusion: further philosophical questions
 
 
授業の方法:   
テキストを輪読し、議論をおこなう。具体的に毎回どのくらいの分量をどのように読み進めていくかは、初回に受講者の人数や顔ぶれをみながら決める。受講者には毎回指定された範囲を読んでくることが求められる。テキストはきわめて平明に書かれているので、読解自体は簡単なはずである。生物学の専門用語になじみがない場合は最初調べるのに少し苦労するかもしれないが、初回に文献を何冊か紹介するので、それらを参考にしてほしい。
 
 
成績評価方法:   
輪読および議論への貢献度に基づいて総合的に評価する。
 
 
教科書: 
O'Malley, M. A. (2014) Philosophy of Microbiology. Cambridge University Press.
(授業で扱う範囲は講師がコピーを用意するので購入の必要はない。)
 
 
参考書: 
森元良太・田中泉吏(2016)『生物学の哲学入門』勁草書房
(このほかの参考書は授業中に適宜紹介する。)
 
 
履修上の注意:  
生物学一般や微生物学の予備知識は要求しない(テキストを理解するうえで必要な範囲の知識はテキスト中である程度解説がされている)。ただし、少なくとも自分の担当する範囲に関しては専門用語の訳語や意味を調べる労を惜しまないでほしい。生物学および微生物学という科学分野や、生物学的な観点から自然界や人間を理解することに興味関心があることを望む。
 
 
関連ホームページ:
 
 
その他: