戦争と科学現代の自然科学の、他の知識の体系に比べた場合の著しい特徴の一つは、その競争的な性格であると考えられる。競争が過度なものとなる場合には、真理探究の方途たるべき学問のありかたに芳しくない影響を及ぼすとして忌避されることになる。しかしその反面、自然科学が、個々人の属する人種や文化によらずあらゆる人々が参加できる全世界規模の知的競争たりうるのは、この知的体系がもつ特殊な競争的性格ゆえであると考えることも可能である。夏学期には、自然科学がもつ競争としての側面がいかにして形成されてきたかを検討することとする。
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