推薦者 | 信原 幸弘 |
■3,4年生向け
- P.M. チャーチランド『認知哲学』(信原幸弘・宮島昭二訳、産業図書、原著、1995)
コネクショニズムという新たな認知モデルから心の見方の大胆な転換を企てる野心的な心の哲学の書。一般読者向け。
- D. デイヴィドソン『行為と出来事』(服部裕幸・柴田正良訳、勁草書房、原著、1980)
行為論と心の哲学の古典的な論文集。とくに行為の因果説を提示した「行為・理由・原因」と非法則論的一元論を唱えた「心的出来事」の二論文は必読。きわめて難解。
- D.C. デネット『解明される意識』(山口泰司訳、青土社、原著、1991)
意識に現れる感覚的な質すなわちクオリアを認知科学の豊富な成果を踏まえながら消去主義的な観点から徹底的に論じた現代意識論の必読文献。大著ながら、楽しく読める。
- S. クリプキ『ウィトゲンシュタインのパラドクス』(黒崎宏訳、産業図書、原著、1982)
<規則に従う>という概念をめぐって展開されたウィトゲンシュタインの難解な議論の意味を徹底的かつ平明に説き明かした言語哲学の古典。
- T. ネーゲル『コウモリであるとはどのようなことか』(永井均訳、勁草書房、原著、1976)
主観と客観の交錯から生じる心の哲学や倫理学の基本問題を論じた分析哲学の古典の地位を占める論文集。興味深いが、やや難解。
- 信原幸弘『心の現代哲学』(勁草書房、1999)
現代英米圏の心の哲学の中心問題を論じた研究書。心身問題、志向性、意識(クオリア)という心の哲学の中心問題に取り組む。この分野への案内書としても読める。
- W.V.O. クワイン『論理的観点から』(飯田隆訳、勁草書房、原著、1953)
分析哲学の古典の地位を占める論文集。とくに分析/総合の区別を批判した「経験主義のふたつのドグマ」は言語と認識にかんする根本的に新たな見方を提示した重要論文。
- G. ライル『心の概念』(坂本百大ほか訳、勁草書房、原著、1949)
デカルトの二元論的な心の見方を批判して、行動主義的な心の見方を提示した現代英米圏の心の哲学の古典。心の日常的概念の丹念な分析は貴重。
- 村田純一編『「わたし」とは誰か』(「新・哲学講義4」、岩波書店、1998)
<私>と<心>について、気楽に読みながら、知識もセンスも思索力も身につく現代の学生にとって理想的な読本。
- 信原幸弘編『シリーズ心の哲学Ⅰ 人間篇』『シリーズ心の哲学Ⅱ ロボット篇』『シリーズ心の哲学Ⅰ 翻訳篇』(勁草書房、2004)
現代英米圏の心の哲学の全容を知る邦語文献としては、このシリーズが最適である。心の哲学の基本問題を論じた人間篇、環境主義のような新たな展開を論じたロボット篇、心の哲学の現代の記念碑的論文を選抜して翻訳した翻訳篇、いずれも充実した内容を誇る。
- 信原幸弘・原塑編『脳神経倫理学の展望』(勁草書房、2008年)
脳科学がもたらすさまざまな倫理的問題や人間観への影響を多角的に論じた論集。自由意志はあるのか、頭のよくなる薬を飲んで頭をよくすることは許されるかなど、脳科学をめぐる重要問題が興味深く論じられる。